遺産分割が行われていない場合の小規模宅地等の特例、配偶者の税額軽減の特例
既に多くのメディアで報じられているように、相続税の基礎控除が縮小され、平成27年1月1日以後の相続から適用になります。これにより、下記のように基礎控除が縮小されます。
現行:5000万円+1000万円×法定相続人の数
改正後:3000万円+600万円×法定相続人の数
これにより、相続税の課税対象となる方が大きく増加することが見込まれております。特に大都市圏で影響が多いと考えられております。
そこで重要となるのが、小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減の特例の活用です。
これらの制度は、相続税の軽減を図る上で、非常に有益な制度なのですが、適用に際して留意が必要なケースがいくつかございます。その一つとして、遺産分割がスムーズにいかないケースがございます。
今回は、遺産分割がスムーズにいかないケースについて解説いたします。
小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減の特例は、相続税の申告期限までに遺産分割が行われていなければ、これらの特例の適用を受けることができません。
この場合、相続税の申告書に「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付して提出しておき、相続税の申告期限から3年以内に分割された場合には、特例の適用が受けられるようにしておく必要がございます。
また、相続税の申告期限から3年を経過してもなお、相続等に関する訴えが提起されているなどやむを得ない事情がある場合には、申告期限後3年を経過する日の翌日から2カ月を経過する日までに、「遺産が未分割であることについてやむを得ない事由がある旨の承認申請書」を提出することで、特例の適用が受けられるようにしておく必要がございます。
なお、いずれの場合も遺産分割が行われた後に、更生の請求を行うことにより、相続税額の還付を受けることが必要となります。
小規模宅地等の特例などは、そもそも複雑な制度である一方で、影響額が大きい制度であるため、その適用に際しては、専門家に相談するなどして十分な検討を行われることをお勧め致します。