信託制度の活用

信託制度の活用

 
信託とは、委託者が財産の管理処分等を受託者に委託し、信託された財産の収益や元本給付を受益者が得る契約関係です。

これを利用して、1つの財産に対する権利を複数に分けたり、受託者となる信託銀行等の管理能力を活用できたりと、色々な利用方法があります。

最近では、信託等を利用した教育資金の一括贈与の非課税制度が創設され、注目を集めています。
 

遺言書の代用としての信託の利用

生前に信託契約を締結して当初は自分が委託者兼受益者となり、自分が死亡した後の受益者を指定しておくことにより、遺言と同じ効果を得られます。
このような信託を遺言代用信託といいます。

遺言代用信託を使うと、遺言よりも確実な財産の移転を実現できます。

遺言は撤回したり新たな遺言に書き換えたりすることができますが、遺言代用信託は信託契約において次の受益者を変更できないように定めることができますので、確実に特定の財産を特定の者に移転することができます。

この機能を利用して、株式を信託することにより事業承継に利用することもできます。
 

高齢者の財産管理への信託の利用

両親が高齢になり判断力が衰えてきたような場合には、適切に財産管理がされるように方策を考えなければなりません。

一つの方法として成年後見制度を利用することが考えられますが、この制度は被後見人の保護のみが目的ですので、節税目的の生前贈与などは裁判所が許可しません。

一方で、信託を利用すれば、判断力を失う前に財産を信託し、受託者に財産の管理処分を委託することによって、仮に認知症を発症しても受託者によって、節税対策なども含めた適切な財産管理を実現することができます。
 

教育資金の一括贈与の非課税制度

平成27年12月末までの時限措置として、祖父母や父母から子や孫への教育資金の一括贈与について、受贈者1人当たり1,500万円まで贈与税が非課税となる制度です。

この制度を利用できる方法の一つとして、教育資金贈与信託があります。
教育資金贈与信託は大手信託銀行が信託報酬や手数料無料で取り扱っています。

子や孫の教育費は必要な都度贈与してもそもそも贈与税は課税されないので、この一括贈与制度を使っても贈与税を節税する効果はありませんが、一括贈与すれば相続財産が減りますので、相続税の節税効果があります。

なお、一括贈与を受けた預金のうち、教育資金以外に使用された金額及び使用されずに残った金額は、受贈者が30歳になった時点で贈与税が課税されます。

従って、孫が生まれたお祝いとして祖父母が贈与するなど、高齢の祖父母から幼い孫への贈与が効果的な利用方法として考えられます。

 

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